最近は、東北などを中心に熊の出没ニュースが増え、人的被害も聞くことが多くなりました。
特に最近は、熊の生息地域を安全に歩くには、熊対策をしていかないと、安心して山歩きができなくなってきました。
そこで、今回はよく売られている熊スプレーを比べてみて、どの熊スプレーが自身の山歩きスタイルに合っているのか検討してもらえればと思います。
また、熊スプレーの噴射状況の実験中にスプレーの成分を浴びてしまったので、その威力についてもお伝えしていきます。
熊スプレーのチェック点
威力(熊に命中するか)
携帯しやすさ(重さや形はどうか)
熊スプレーの選び方
噴射距離や噴射時間
スプレーの噴射距離や噴射時間は、製品により大きく異なっています。
長いものでは、10メートルくらい、短いものでは 5メートルくらいの噴射距離があります。
もちろん距離は長い方が安心ですが、スプレー缶の大きさ、重さ、値段などと併せて検討していく必要があります。
購入時には、大型猛獣用、熊用などと説明されているものもあるので、確認して購入しましょう。
誤噴射機能
多くの熊スプレーには、誤噴射機能がついていて、いざという時にはその機能を解除して使うことになります。
実際に日本でも電車内などで誤噴射して、負傷者が出てニュースになった事例もあり、万が一誤噴射してしまうと多くの方に迷惑をかけてしまうことになります。
逆に、誤噴射防止機能が複雑であった場合、いざ使わなくてはならなくなった時に焦って使えなかったとならないよう訓練をしておく必要があります。
スプレーの成分
熊スプレーの主成分は、唐辛子に含まれる辛味のカプサイシンで、スプレーの威力は、カプサイシンの含有量で判断できます。
また、辛さの単位は、SHU(スコヴィル)の単位で表記されており、ツキノワグマ用で200万SHUくらいの含有量のが目安です。
ツキノワグマとヒグマに対しての効果は、カプサイシンの含有量によって異なりますので、購入時は対象を考えて購入する必要があります。
使用期限
熊スプレーにも食品や薬剤のように使用できる安全に使用できる期間が定められています。
一般的には、製造から3~5年くらいですが、使用期限は、スプレー缶に記されていますので、確認して購入してください。
このスプレーは、2028年12月が使用期限となっています。 ↓
熊スプレー4種
COUNTER ASSAULT CA290
噴射距離 約10メートル
噴射時間 約9秒
対象 熊、野犬
成分 唐辛子エキス、代替フロン(HFC-134a)
重さ 約380グラム
価格 ¥14,000くらい~
BEAR ATTACK
噴射距離 約7~8メートル
噴射時間 約5~7秒
対象 熊
成分 唐辛子エキス、代替フロン(HFC-134a)
重さ 記載なし
価格 ¥12,000くらい~
Bear Deterrent 12HP
噴射距離 約9メートル
噴射時間 記載なし
対象 ヒグマ
威力 記載なし
重さ 約224グラム
価格 ¥9,800くらい~
ポリスマグナム B-609
噴射距離 約5メートル
噴射時間 約0.5秒を5回程度
対象 ツキノワグマ・イノシシ
威力 181000SHU
重さ 約160グラム
価格 ¥6,000くらい~
今回選んだ熊スプレー
今回選んだのは、オレンジ色が鮮やかな「Bear Deterrent 12HP」
選んだ理由
アメリカ森林警備隊が採用しているもの
グリズリー用と記載されている
噴射距離が約9メートル
携帯が便利
緊急の時にホルスターから引き抜きやすい
比較的安い
腰ハーネスに取り付けられるので、いざという時も手の近くにあるので使いやすそうです。
熊スプレー噴射実験
噴射実験の状況
ご紹介した4種のうち、1番目の「COUNTER ASSAULT CA290」の噴射実験を行いました。
天候:曇り
気温:約12℃
風速:微風程度(ほとんどなし)
噴射時間:約1秒(約1秒を3回)
見学位置:噴射場所から約5メートル
噴射状況
①見学者から5m程度離れた位置で、見学者と並行方向に約1秒間噴射
②噴射元から5~6m先でスプレーの成分が広がる
③さらに成分が広がり(7~8m先)見えなくなる
熊スプレーが自分の顔にかかったときの症状
上記のとおり私が噴射した直後、微風(風と感じるか感じないの程度)が自分の方向に吹いてきたので、あわてて位置を変えましたが、微量の成分が自身にかかってしまいました。
その直後、眼球が熱くなり、目が開けられず涙が止まらなくなり、眼球の奥の方まで痛くなってきました。
あまりの痛みで立っていられなくなりましたが、2~3分程度で痛みのピークは超えました。
しかし、顔面や眼球、鼻の痛さが完全に消えるまで2~3時間くらいかかり、帰宅後に成分を洗い流そうとした際も、顔にかけたお湯によって、顔がひりひりと痛みました。
今回は、熊スプレーの威力の大きさを感じるとともに、風向きを考えた使用を冷静に行わなくてはならないということを身をもって勉強しましました。
このように、使い方を誤らなければ、かなり有用な道具ですので、皆さんも安心して登山できるよう携帯してはいかがでしょうか。
そして、登山には登山用の保険もお忘れなく…。
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